8月31日から公開された映画『SUNNY(サニー)強い気持ち・強い愛』。先日、劇場で見てきました。結論から言って「こりゃまた見たい!」とすっかりやられてしまったので、興奮が冷めないうちに感想を書いておきます。
なお、めちゃくちゃネタバレするので、まだ見ていない方はお気をつけくださいませ。
※画像は公式サイトからお借りしました
映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」とは
夫と高校生の娘と暮らす40歳の専業主婦、阿部奈美(篠原涼子)は、日々の生活に空しさを感じていた。一方、独身で39歳の社長・伊藤芹香は、ガンで余命1か月を宣告されてしまう。およそ22年ぶりに再会した芹香にもう一度みんなに会いたいと告げられた奈美は、ある事件が原因で音信不通になった仲良しグループ“SUNNY(サニー)”のメンバーを捜そうとする。 Yahoo映画より引用
ルーズソックス世代なら間違いなく懐かしい!
普段あまり映画を見ないので、サニーについても「なんか新しい映画が始まったんだな」くらいにしか思ってませんでした。
が、音楽監督?に小室哲哉氏の名前を見つけて「あっ」と。わたくし1983年生まれの35歳。何を隠そう、TK時代ど真ん中なんです。
それで俄然気になっていたところに、プロモーション動画のSWEET 19 BLUES、ルーズソックスときて。そしてそして極めつけは、「懐かしくて泣けた!」「アラサー世代の女性こそ見てほしい!」の口コミですよ。
こりゃもう、見るっきゃない!と、すっかり盛り上がってしまいました。
で、ほぼ事前情報を入れずに、レディースデーを使って行ってきたというわけです。おかげで、主演が篠原涼子さん、あと偶然再開した友人がもうすぐ死ぬ……という設定くらいしかわかっていませんでした。
キャストすら知らなかったので、おかげで「おお、ここでこの人が出てくるんだ」という楽しみもありましたw
冒頭から泣かせにくる、なつメロの嵐
冒頭、「こりゃズルイ」というのが、率直な感想でした。
序盤、篠原涼子さん演じる奈美が、母校である高校へ向かう坂道をゆっくりとのぼっていくシーン。回想というテイなのか?当時のJK・コギャルたちが登場し、キレッキレのダンスを踊ります。
そのBGM、LA・LA LOVE SONGですよ。久保田利伸です。まわれまーーーわれ メリーゴーラウンドッ♪ですよ。なつい。なつすぎる。
こんがりと日焼けした肌、リュックみたいに背負った補助バッグ(と我々は呼んでたけど、全国的にはなんて呼ぶのかな。サブバッグ、で通じる?)、前髪とかとめてたクリップやら花、プリクラ帳、腕を前にぐーっと突き出すおなじみの撮影ポーズ、あと雑誌のエッグ。
死ぬほど懐かしい描写のエンドレス。老化とともにすっかりゆるみきった涙腺を、これでもかと刺激しにかかっているな、と感じました。
正直なところ、わたしはコギャルではなかったし、日サロには一度も行ったことがないし、「エッグポーズ」と呼ばれていたらしいあのポーズも恥ずかしくて控えめにやった程度だった。そもそもエッグは読まず、キューティとか読んでたし。
けど、ああいう女の子たちは周りにいっぱいいたし、淡路島から転校してきたばかりの奈美がやっていたように、カーディガンをぐいぐい引っ張って伸ばそうとしたこともある。ああやって毎日笑ったり怒ったり、騒がしく過ごしていた女の子たちの中の一人だった。確かに。
そんな記憶が、ぶわわわっ!と蘇る冒頭のシーン。あれだけでもう「ああ、見に来てよかった」と思わされちゃいました。年取るって、いやぁね。
いい感じにおばちゃんになってる篠原涼子に親近感
役作りなんでしょう。すごいなって思いました。なにがって、篠原涼子さんのあのおばちゃんっぷりです。
化粧品のCMとか見ると、もっとキラキラしててすごくきれいじゃないですか。わたしは「愛しさと切なさと心強さと」の時代から見てますけど、全然衰えた感じないし。
けど、サニーの中で演じる奈美は、いーい感じにおばちゃんなんです。年齢は、わたしよりもちょっと上。けどあのくたびれた感じとか、もっさりしたメガネのニット姿、疲れた感醸し出してる髪型。あー、わたしだってかつてはかわいい女子高生だったのに、いまやこんな感じだよねーと、半笑いでめちゃめちゃ共感してしまいました。
お金もあるし、家庭内に大きな不和もなく、一見すると順風満帆に見える。けれど、みんな何かしら悩みを抱えていて、友達と会ったからってそれが解決するわけじゃないんだけど、会って喋ってる間だけ気持ちが高校生の頃にタイムスリップしたみたいで、なんか笑える。そんな空気感。わかるわ。
甘酸っぱくて切ない、恋の話
本筋ではないけれど、奈美の初恋(だったのかな?あれは)についての描写もよかった。お相手は三浦春馬さん(あの髪型がまたなつかしい!)演じる、渉さんですね~。
当時、人気絶頂だったキムタクの影響で、あの髪型の男性がすごく多かったですね。でもわたしは短髪派だし、そもそもあれが似合ってる人はそうそういなかった。でも三浦春馬さんはかっこよかったです。
ちょっとしたことで舞い上がっちゃう乙女心、そしてそれを打ち砕かれたときの絶望感と、泣くしかできない子ども感。そして時を経て、「きっと相手も覚えくれているはず」という淡い期待すらもあっさりと打ち砕かれてしまう、あのなんともいえない喪失感というのかしら……。
あわーい恋心を抱いていた人、いたなぁ、そういえば。とか思い出しちゃったよね。もちろんもう好きとか、そういう気持ちはないわけだけど、大切な思い出として心の中には残ってる。けどたぶん、向こうはわたしのことなんて覚えてないだろうな~って程度の、そんないっときすれ違っただけの相手。
この年になると、みんな1つや2つはそういう恋の思い出あるよね?そういう、なんというか、心のやわらかーい部分を触られちゃった感、あるね……。
病気と死
わたしは実母を早くに亡くしているので、同年代の子たちと比べると「死」を身近に感じて生きてきた方だと思う。若いうちはとくに、「死」なんてどこか他人事みたいな気がするけれど、本当は誰に、いつ訪れてもおかしくないものなんですよね。
けれど毎日を生きていくなかで、今のところ風邪をひいたり腱鞘炎になったりすること以外は健康体だし、死のことなんかあんまり考えなくなってた。
けど、「あと一ヶ月」とつぶやいた芹香を見てはっとした。命を脅かすような病気、突然の事故。わたしも、身近な人も、いつそうなったっておかしくないんだった、って思い出した。
もしそうなったとき、どうするのか。どうしたいのか。今のままで大丈夫だっけ?なんてことを、改めて考えさせられたりもしました。
毎日一緒に過ごしたのに、もうどこで何をしているのかまったくわからない友達
わたしは今でも、高校(なんなら小学校からだけど)の頃からの友達が多くて。だからサニーのメンバーみたいに、めちゃめちゃ仲良しだったのに今は音信不通って子はいないんだけども。
でも、卒業以来まったく消息不明の子って、よく考えたら多いことに気づきました。仲良かった同士は今でも会ってるけど、そこまでじゃなかった子とかは、今どこで何やってるのか全然わからない。
幸せに暮らしてればそれでいいけれど、心(ともさかりえ)みたいに、ずいぶん変わってしまってる可能性だって、なくはないんだよねぇ。
高校の頃は、テストの点数がいいとか悪いとか、彼氏できるのが早いとか遅いとか、おしゃれなのかダサいのか、せいぜいそんな違いだったのに。
なんだか知らない間に、ずいぶん遠くまで来ちゃったんだなあ、という気になりました。
ご都合主義のストーリーは、この際気にしない
20年ぶりに集まったサニーのメンバー。みんな大人になっているので、中にはのっぴきならない事情を抱えている人もいるわけです。そこを一気に解決しちゃったのが、亡くなった芹香でした。
芹香はいくつかの会社を経営しているバリバリのキャリアウーマンで、それこそお金をいっぱい持っていたわけですね。
で、その潤沢な資金で、最後まで見つからなかったメンバーを探すために新聞広告を打ったり、売れないセールスレディのためにマンションだかビルだかを一棟買ったり、シングルマザーのために借金を返し、夢を実現させるためのお店を用意し、アルコール中毒の治療の手はずまで整えてくれました。
んで残ったみんなは「芹香……!ありがとう……!」って感動の涙なんだけど、ここだけはわたし「んん??」ってなりました。
そんなご都合主義?そしてあっさりとお金を受け取る友情とは??みたいな気分に、ちらっとなってしまったんだけど……まぁ、そこはこの映画の本質ではない!ということでスルーします。
それより何より、90年代のなつかしさあふれる描写、音楽、そしてにぎやかなダンスシーンなどを楽しめばいいかなと!
結論:手元に置いて何度も見たい
普段は映画のDVDなんて買わないんだけど、これは買っちゃってもいいかなー!?と思えるくらい気に入りました。
正直、映画の良し悪しとかは全然わからないので、これはあくまでも批評ではなく主観。個人的には、「うわああああ!なつかしい!」ってだけでもはや5つ星でした。
ぱっと思い出せないものもあるけど、とにかくあの時代がよく再現されてる!ってポイントが散りばめられています。ティセラの看板とか、写真にらくがきするミルキーペンとか。もう一回見たら、また別の発見があるかもしれない!
これ見てると、ちょっとだけ高校生の頃にタイムスリップしたみたいな気持ちになれて、元気が出るんですよね~。手元に置いて、元気出したいときに繰り返し見たいかな、という映画でした。見に行ってよかった!