【PC版】『蝶の毒 華の鎖』のネタバレあり感想

乙女ゲーム・恋愛アプリ

前回、Switch版の蝶毒の感想記事を挙げました。

『蝶の毒 華の鎖~大正艶恋異聞~』感想|これはもはや昼ドラ。だがそれが良い

で、すっかり蝶毒の世界にハマったわたしは、生まれてはじめてPCゲームを買いました。移植版ではシナリオが削られたり変更されている部分があるので、もともとはどういう話だったのか、すごく興味があったんです。

あと、2018年に発売されたリパケ版ではファンディスクも一緒になっているので、そっちもやってみたくて。

結論として、PC版は18禁のアダルトゲームなのでもちろん刺激が強かったんですが、それ以上に「ああ、こういうことだったのね」というストーリーに対する納得感がすごかったです。

というわけで、クリア記念にネタバレ感想残しておきます。

 

【PC版】『蝶の毒 華の鎖』の全体感想(ネタバレなし)

Switch版をクリアした直後にプレイし始めたので、おおむねのストーリーは頭に入ったまま。というわけで、本編はさらっと流し見しました。

基本的に話の流れは同じですが、健全なデートシーンがない(移植版で追加された)とか、本番シーンがある(18禁なので……)とかの他にも、ちょっとしたセリフの言い回しが変わっているところが見られましたね。

ざっと見た感じ、卑猥な言葉とあまりに差別的な言葉は移植版でカットまたは差し替えられているようでした。

Switch版をプレイしていて、「これ、どういうことだろう?」と違和感を抱くシーンが時折あったのですが、これは移植にあたってカットもしくは変更された弊害なのだと合点がいきましたね。

そういう納得感を得られただけでも、やっぱり原作をプレイしてみてよかったと感じました。

あとはみんな変態に磨きがかかってる。

バッドエンドに磨きがかかってる。

でもこれが本来の蝶毒の世界なのだなと飲み込んだら、すごくしっくりきました。やっぱり原作やらないとダメですね、うん。

個別ルートの感想(ネタバレあり)

ではここからは、各キャラクターのネタバレ感想を書いていきます。順番は前記事の順番どおりで。

尾崎秀雄

まずは尾崎の若様、秀雄さんですね。百合子とは幼なじみの関係で、秀雄は子どもの頃から百合子が好きでした。

Switch版とはちょっと違った面も見えたかなー、でも基本的にはツンデレで不器用なかわいいDTくん、という印象は変わらずです。

【鳥】

秀雄のグッドエンド。軍隊を辞めてもともと好きだった鳥の研究者として新しい道を歩み始めた秀雄は、どんな場所へ研究に行くにも必ず百合子を伴っていきます。

エンディングでは、まだ2歳の子どもを置いて僻地にいるわけですが、親目線からは正直「おいおいありえねーだろ?」という感想を持ったのは事実です。

秀雄は潔癖症で神経質な性格ゆえ、ちょっと他人の気持ちを慮るのが不得手というか、空気を読まない強引さがあるというか、そういうところがあるんですよねえ。

ただまあ、藤田が世話してくれてるなら大丈夫なのかな……うん、まあ。

それはそうと、秀雄がなぜここまで百合子を連れて行くことにこだわるのか。これについてはファンディスクで語られていました。それを知ったうえで見ると、またちょっと違った感慨がありましたね。

そういう意味でも、今回ファンディスクがプレイできて良かったと思います。

正直、わたし的に秀雄の魅力はいじられと不憫さだと思ってるので、バッドエンドでこそ彼は輝く気がしています笑。

【白】

シベリアで戦死してしまった悲恋バッド。これはSwitch版と変わらなかったと思います。いつ見ても悲しいですね、これは……。

【うそつき】

Switch版と比べて一番印象が変わったのがこれかなー。

佐和子が秀雄との結婚をあきらめてくれなかったため、百合子と秀雄は愛し合っていながら、お互いに結ばれることが叶わなかったバッドエンド。

秀雄は佐和子と、百合子は斯波とそれぞれ結婚しますが、それでも週に一度はホテルで密会している、という設定です。

Switch版と大きく違うのは、秀雄の性癖が明らかになるところ。秀雄は百合子と会う度に下の毛を剃るという謎プレイを繰り返しています。剃毛癖です! Oh……

これはあれかなー、秀雄の潔癖なところと結びついているのかなあ。斯波と結婚して妊娠して、どんどん変わっていく百合子。それに対して秀雄はずっと変われずにいます。

自分が好きだった百合子、純粋無垢な生娘のままでいてほしいという願望が見え隠れしているような気がしました。

斯波と結婚したことに対して百合子を罵倒するのはSwitch版と同じですが、PC版ではそれがさらに増していて、ちょっと百合子がかわいそうになっちゃった。

けど乱暴な言葉を投げつけながらも、それでも秀雄の百合子に対する愛情が垣間見えるところもあって、なんかやるせないなーってなるエンドでした。

野宮瑞人

お兄様はもともとあまり好みでないので、他キャラに比べてますますさらーっと復習した感じに留まりました。1人だけなぜかエンド数多いし。

ただ、Switch版で既に淫らだったお兄様ルートの本領発揮はちょっと楽しみだったけども笑!

【夜色の髪】

瑞人のグッドエンド。想いの通じ合った百合子と一緒にパリへ渡り、お兄様は絵画で成功を収めた話でしたね。

Switch版の感想でも書いた通り、死にたがりで浮草のように暮らしていたお兄様がちゃんと真っ当に生きる道を見つけられたのがとにかく嬉しいエンドです。

あとは洋装のお兄様が美しいことかな。

瑞人に「僕たちは血のつながった兄弟じゃない」と告げられたときの真島の反応が切なかったなあ。この家の呪いが2人を侵さなかった安堵と、自分自身は百合子を好きになっちゃった辛さと……

なんかいろいろな感情が渦巻いたんだろうな、と想像に難くないですよね。

【空虚な明日】

瑞人との関係にふんぎりがつかず、勢いで斯波さんと結婚しちゃったバッドエンドです。

あんなに「お姫さんと結婚できればいい」と言っていた斯波さん。浮気されても殺されても決して愛することをやめなかったのに、このルートでは百合子に対してきつく当たります。

最初の頃は優しくしてたけど、百合子の態度があまりにアレだったんでしょうねえ。傷ついちゃったんでしょう。至るところで当て馬みたいに扱われて、本当にかわいそうな斯波さん。

個人的にはお兄様より斯波さん派なので、斯波さんが不憫なエンディングでした。

【つがいの蝶に】

真島が犯人なのに真島に正面から「どういうこと?」と詰め寄った結果、屋敷に火を放たれるバッドエンドです。かつてハマったやるドラシリーズ『ダブルキャスト』の中で、真犯人と知らずにヒロインに相談を持ちかけてヤられる滑稽な主人公を思い出しました。

このエンドには本番シーンはないので、Switch版と内容は同じだったかな。死を悟ったお兄様が自室から怪しいお薬を出してきて、2人でベッドに横たわり、「自由な美しいつがいの蝶として生まれ変わろう」と眠りに落ちます。

わたしは藤田推しなので、このエンドでは藤田がかわいそうでした。最後まで2人のことを思いながら死んでいった藤田……藤田は何も悪くないのに、とばっちりで……なんと哀れな……

【蔵の中で】

蔵の中でまぐわい合う淫らな生活を続けていたら、ある日火をつけられちゃったバッドエンドです。前回も書いたけど、これは真島の怒りを買いますよ。そりゃー火もつけられますよ。

瑞人ルートの真島はどうも残虐です。真島の呪いは野宮家全員に向けられており、それはもちろん百合子だって例外ではないんですが、百合子を殺そうとする意識は滅多に見られません。

けど瑞人ルートでは、明らかにヤりにきてますよね。瑞人が百合子と実の兄妹だと思い込んでいるからこそ、憎らしさが倍増しているんだろうなあ。

【秘密の共犯者】

唯一、お兄様ルートで楽しみにしていたといっても過言ではないのがこのバッドエンドでした笑

秀雄が! どれほど! ひどい目にあっているのか!

お兄様より、いじられている秀雄を見るほうがよほどおもしろいんだもん。ごめんね秀雄。

それにしても、バッドエンドに入っちゃった百合子の愚かさといったらどうしようもないよね……。わたしは凛としていて元気な百合子が好きなので、愚かバージョンの百合子を見てるとちょっと悲しくなります笑

エンディングの感想としては、思った通り秀雄がいたぶられていました。かわいそうだけど、これぞ秀雄の真髄……! とも思っちゃった。ごめんね秀雄。

 

……こうして振り返ると、お兄様エンドって誰かしらを巻き込んで不幸になってる率高くない? めっちゃ迷惑だなおい!!!

藤田均

藤田ー!!!

野宮家の忠実なる執事藤田! 鉄面皮の藤田! チョコレエトが大好きな藤田! ド変態な藤田ー!!!

今回もバッドエンドではドン引きです。Switch版でも相当なドン引きだったのに、それを軽く飛び越えるドン引きエピソード。

もうあっぱれですよ。18禁とはいえ、女性向けゲームでここまでやるの? わたし初めてだからわからない。

それでもわたしは藤田が好きです。

ド変態でも「うわっこれはないわ」と引いても、それでもなぜかわたしを惹きつける藤田の魅力。なぜだ……解せん。

けど、「藤田はトラウマになるレベルでありえん」と言う人の気持ちもわかります。それくらい衝撃のキャラだと思います。

【姫様と執事】

藤田と結婚して、2人で新居を構えたグッドエンド。お互いに「藤田」「姫様」と呼び合う関係はそのままで、ほとんどの家事を藤田がこなすのもそのまま。

戸籍の上では平民になった百合子だけれど、本当に姫様と執事という関係のまま夫婦になっちゃったんですね。

藤田はグッドエンドでも変態の片鱗を見せていて、百合子の胸にやたら執着しています。そして伝説の子どもが生まれたら「乳を飲みたい」発言ですよ。エェ……引くわ……。

それでも最後に不安げな顔をして「姫様は幸せですか? 私のひとりよがりではないですか?」とか聞かれちゃうとキュンとしてしまう。わたしはちょろい女です、ええ。

【秘密倶楽部】

お、おお……となったエンディング。これもかなり衝撃でした。

野宮家の借財をなんとかするために体を売っていた瑞人のことを知ってしまった百合子が、やけになって自ら秘密倶楽部に体を売るという、トンデモエンドです。なんでやねん。

Switch版ではお人形さんのように飾られて、それを行き交う人たちが舐めるように見ていく……というマイルドな描写になっていましたが、PC版ではちょっと気分悪くなるくらいの激しいシーンとして描かれていました。

んで最後、藤田の「姫様はそうしておられるときが一番美しい」というセリフですけど、どーゆーこと??? 藤田は胸と乳が好きなんであって、別にそういう趣向があったわけではないのでは?

とか、いろいろと悩んでしまいました。

これについてはファンディスクのとある人のルートで、「百合子は性の悦びを知れば知るほど花開き、美しくなっていく」的なセリフがあったので、そういう意味合いなのかな? と納得することにしました。

【永遠の下僕】

犬エンドwwwww

やべー藤田の本領発揮ですよ、もう笑うしかないwww

藤田と愛し合いながらも結婚はできないと、斯波さんと結婚することにした百合子。藤田のことは表向きは使用人として、その実愛人として伴っていきました。

で、斯波さんがいない間に藤田と関係するというのを何年もやっているわけですね。

百合子はすでに斯波さんの子どもを生んで何年か経っているわけですが、藤田は胸と乳に異常な執着を見せます。嬉々とした「乳イ!」にはもう、笑うしかない(2度め)ww

藤田推しのわたしですら直視できないほどのドン引きエンドなのですが、下僕エンドの藤田はもう精神が壊れかけのRadioですよ。

大好きな姫様、一度は心が通い合ったはずの姫様がなぜかちゃちゃっと斯波さんと結婚してしまい、にもかかわらず自分のことは手放さない。もうどーゆーこと?

ああでも姫様は好き、姫様の乳も好き! これです。(どれ)

藤田という人は強そうに見えて、その実すごくナイーブです。その上うまく発散できずに自分の中で溜め込んでしまうところがあるので、我慢がある程度までいくと、ピンと張り詰めていた糸がプチッと切れちゃうんですよね。

本編の突然のキスもそうだったし、ファンディスクでの瑞人とのやり取りでもそういうシーンがありました。

そういう脆さにグッときちゃうんでしょうね、たぶんね……ハハハ……

斯波純一

推しは藤田だけど、自信を持って大好き! と言えるのは斯波さんです。それくらい斯波さんルートは良いし、実際斯波さんが好きって言ってる人はたくさんいます。

蝶毒ははじめ真島の話なのかと思ったけど、なんというか、やっぱりメインヒーローは斯波さんなんじゃないかな? と感じてます。

それくらい彼のルートはぐっとくるし、美しいし、泣けるし、キュンとする。真島は裏ボスみたいな……?

【優しい男】

斯波さんという人をよく表しているタイトルですよね。そのまんま、彼は本当に優しい男ですよ。

秀雄のように視野が狭く神経質でしょっちゅう百合子を怒らせることもない、瑞人のように死にたがりで頼りないわけでもない、藤田のように女々しい変態じゃない、真島のように闇の阿片王じゃない。

白いハンカチ一枚を心の拠り所にして商売で成り上がり、金儲けだけじゃなくて孤児院の運営をしたり学校を建てようとしたり、ちゃんと周りの人のことも考えられる。

本当に本当に、斯波さんはいい男です!

多少強引で粗野なところもあるけれど、包容力があって大人の男って感じがするよね。かと思えば子どもみたいに無邪気だったりいたずらっ子みたいなことをしたり。それに正直だし生命力に溢れてる。そりゃモテるわ。

なのに百合子が関わるとすーぐ傷ついたり、照れたりするところがまたかわいい!

斯波さんのこれまでを思うと、百合子と結ばれて本当に本当に良かったね、と拍手してあげたくなります。

【後悔】

野宮家に起こった悲劇のすべてが、斯波が引き起こしたものだと勘違いした百合子。「復讐してやる」と悪鬼に取り憑かれたようになります。

斯波さんと結婚し、毎夜お酒に体を少しずつ蝕む毒を入れ続け……やがて斯波さんは病に倒れ、亡くなります。百合子の悲願は達成された、という話なんだけども。

斯波さんは百合子が自分に復讐したがっていること、酒に何かを仕込んでいることを知ったうえで、死ぬ間際に百合子に「幸せだった、ありがとう」と言って死んでいきます。

百合子も、斯波さんと暮らすうちに復讐心以外の別の気持ちが湧き上がってくるのを薄々感じていました。でもその度に、これまで起こった不幸を思い出し、あの男を憎まねばならないと自分を奮い立たせてきたんです。

斯波さんの死後、見つかった日記に真実が記されていて、それを読んだ百合子はその場に泣き崩れる……と、やりきれないし悲しいが過ぎるバッドエンドです。

エンディングのタイトルは「後悔」。百合子はその日記を読んで自分の行動すべてを後悔したのでしょうね。もしかしたら、少しずつ斯波さんのことを愛し始めていたのかもしれません。はあ、やりきれんな……。

【座敷牢の恋人】

「後悔」とは違い、すべてを悲観した百合子は復讐ではなく自死を選び、川に身を投げます。が、すぐに助けられ、一命を取り留めます。

しかし百合子は、溺れかけたことで視覚を失ってしまいました。斯波さんはそんな状態の百合子を攫い、座敷牢に閉じ込めてしまうんですね。

代わりの死体を用意し、百合子は世間的に死んだことになった……という話が斯波さんから語られますが、詳しいことはぼかされます。

「最終的にそれを決めたのは俺だ」的なね。えっ、じゃあ死体を用意したのは誰なのよ?(まあ大体予想はつくけどな!)みたいなモヤッと感がある終わり方でした。

このあたりの詳細についてはファンディスクで語られているので、気になったらぜひそちらもプレイしてみてね!

そうして斯波さんに飼い慣らされるうちに、百合子はすっかり性奴隷のように。もとの百合子とは似ても似つかなくなってしまったことに、斯波さんは少し寂しげな様子を見せ、一方でその体に溺れていくという内容でした。

ただ純粋な思いで百合子を愛していたはずの斯波さんが、どうして道を踏み外してしまったの? と、ちょっとばかし胸糞というか、悲しい結末ですねこれは……。

真島芳樹

真打ち登場、真島です。Switch版ではだいぶシナリオがカットされていたので、すごく楽しみにしていました!

……が、PC版でも大筋は変わらず、ボリューム的にはやっぱり満足とは言えませんでした。Switch版では全カットされていたラブシーンが見られたのでまあ良かったかな、という感じ。

個人的には、真島は好きですがそんなにキュンとするー! っていう好きでもないんですよね。世間的にはすごく人気のあるキャラなんですけど。

まあわたし、なんせ藤田推しなので……ちょっとおかしいんですよ、はい。

【秘めた想い】

舞踏会の日に百合子が真島に告白すると、ならず者たちは野宮家に殴り込むこともなく、三郎はお父様を殺すこともなく、ただただ平和にその夜が過ぎていきます。

百合子に告白されて戸惑った真島はその場から逃げ出してしまうわけですが、そのときの真島、

「えっ、百合子も俺のことを好きでいてくれたの!? マジかよー嬉しい!」
「いやいや、じゃあちょっと復讐どころじゃないじゃん! 三郎を止めなきゃっ」

……みたいな舞い上がった心境だったのかと思ったら、ちょっとかわいくて笑えるよねw

その後2人で想いを伝え合い、一緒に野宮家を出ていくわけですが、このときのお母様の狼狽ぶりといったらすごかったです。真島ははっきりとは言いませんでしたが、お母様は「真島は自分が過去に生んだ、実の兄との間にできた子」だとわかったんでしょうね。

そして2人の前に立ちふさがる藤田よ。殺気を漲らせる真島の前に臆せず立ち、でも主人には絶対忠誠を誓っているはずの藤田が百合子の言葉に心動かされて道を開けるシーンは感動しました。

藤田もやっぱり、姫様のことが大好きで大切なんだなあと。ちなみにSwitch版ではスチル有りだったけど、PC版では立ち絵のみでした。

タイトルが「秘めた想い」なだけあって、真島はすべてを百合子に打ち明けることはしません。大陸での仕事のこと、出生のこと、何もかもを自分の胸のうちに秘めて、それでも一緒にいる道を選ぶんですね。

そういえば、Switch版にはなかったラブシーンのスチルでは、背中の大きな傷がしっかり描かれていましたね。あれ見ると、やっぱり真島にも幸せになってほしいと思うなあ。

けど、真島は百合子と一緒になれて幸せだけど、その一方ですごく苦しんでもいると思うんだよね。あれだけ呪われた血を憎んできたんだから。

そう考えると、真島ってどのルートでも幸せになりきれないなあと、切なくなります。

【おかしな姫様】

蔵の中で三郎に襲われたはずみで、百合子は持っていた刃物で三郎を刺殺してしまいます。それを真島に知られ、2人で共謀して三郎の痛いを庭に埋め隠すことに。

そこからさらに不幸は続き、お兄様は安定の入水自殺、あげく藤田まで失踪……。そんな状況になって、百合子はどんどん壊れていく。あげく真島に売春宿に売られてしまいます。

心が壊れた百合子はすっかり子どものようになって、それでも真島のことが好きで、真島との暮らしを守るためには体を売るのも仕方ないと今の生活を受け入れています。一方真島も、百合子との時間を買って会いに来ては抱くわけです。

このとき真島が、泣くんですよねえ。百合子を壊してやりたかったはずなのに、壊れてしまった百合子を見て、それでも純粋に自分のことを思う百合子の言葉を聞いて、頭ではいけないことだと思いつつ抱かずにはいられない自分にも、すべてのことに涙しているのだと思います。

はー、切ない。真島も苦しんでるんだな、ずっとね……。

【悪人】

百合子を上海まで連れて行き、「妹」としてずっとそばに置いておくエンドです。

2人は惹かれ合っているにもかかわらず、お互いに触れ合うことはしません。だって兄妹だから。しんど……。

ちなみに、このスチルの真島がめっちゃかっこいいです!

やっぱり真島は蝶毒イチのビジュアル担当だと思う。顔が好き。

【女郎蜘蛛】

いろんなルートで「天海夫人には気をつけろ。あの人はいい噂を聞かないし両刀だ」と言われ続けてきた天海夫人の本領発揮ルートです。

でも結局、このエンドでしか天海夫人が百合子に手を出すことはなかったですね。他は百合子の助けになってくれたりもしたし。

ちょっと選択肢を間違えたら即喰われちまうんじゃないかと思って、結構ビクついてたんだけど笑。

このエンドでも、嫌がる百合子を無理やりっていうんじゃないし、むしろ三郎に犯されて傷ついた百合子がこうなるのも必然か……? と思えるほど自然な流れだったとすら思いました。

それにしても三郎キモいな。許せん。

【上海愛玩人形】

三郎に(またおまえか!)連れ去られ、途中で車の事故にあって視力と聴力を失ってしまう百合子と、そんな百合子を優しく愛してくれる人のエンド。

誰とは描かれませんが、まあ真島でしょうねこれは。百合子が、「自分が目も耳も失ったからこそ、この人はこうして自分を愛してくれる気がする」と悟っているのが、切ないなあ。

まさにそうなんだよね。真島は、百合子が真島だと認識できないからこそ百合子を愛せるわけですよ。

このエンディングはけっこう人気が高いみたい。たしかにわからんではない、妖しくて優しくて甘い雰囲気があるもんね、バッドだけど。

まとめ

こんな感じで蝶毒PC版の感想おしまい!

プレイしてみてしみじみと感じたのは、やっぱり「PC版が原作のゲームは、PC版でやるのが正解だな」ということでした。他にもいろいろと調べてみようかなっと。

ファンディスク『幻想夜話』の方も既にクリア済なので、気が向いたらまた感想書こうかなと思います。

とにかく、蝶毒とってもおもしろかったです! ドロドロしてるしなかなかエグいシーンもあり、Switch版以上にやる人を選ぶ内容だとは思うけれど、ト書きの美しさや人間の心をしっかり描き出すシナリオなど、わたしはどっぷりハマりました。

リパケ版なら本編とファンディスクが一緒になっているので、とってもお得♪ 気になったらぜひプレイしてみてほしいです!