2020年4月16日にオトメイトから発売された完全新作乙女ゲーム『オランピアソワレ』をプレイしました。
近年オトメイトは「人気タイトルの移植ばっかりじゃないか」なんて言われることもありますが、そんな状況において満を持しての完全新作!ということで、中身をまったく知らない状態で予約し、手元に届き、忙しさにかまけてずいぶん放置してからのプレイ……ということになったわけです。
結論からいうと、めっちゃ糖度高いしおもしろいじゃないか!です。好きでした、オラソワ。そんなわけでレビューという名のネタバレ感想を書き残しておきます。
ネタバレは本文後の方になりますので、見るのが嫌な人はそこで戻ってくださいね。
オランピアソワレの世界観、概要
――これは、辿り着いていたかもしれないもう一つの神話の物語――
【白】の少女が舞うと夜が遠離る。
自らを「オランピア」と名乗り、人形のように微笑むこともなく、人形のように舞い續ける彼女を人々は敬い、恐れていた。
命よりも色を重んじる天供島で、彼女はたった一人しか存在しない色を持つ。
稀少な【白】を途絶えさせないために、ここで18歳を迎えた彼女は交配相手を捜さねばならない。
『天女島で産まれた貴女は特別なのです』
『この島のどんな色の男でも自由に選ぶことができます』過去の出来事から外界との交流を拒んでいた彼女は、亡き母の言葉を信じて一歩を踏み出す。
本当の自分を愛してくれる者を見つけるために。
自分が求める魂の半身と出逢うために―― 『オランピアソワレ』公式サイトより引用
オラソワの主な舞台となるのが、「天供島(てんぐうとう)」と呼ばれる島です。ヒロインであるオランピアが生まれたのが、天供島からほど近くにある(んだけど遠い)天女島。
この世界では誰もが”色”を持っており、それによって就ける職業や結婚できる人など、すべてが決められてしまいます。
そんな世界において、オランピアはたった一人残された稀少な【白(はく)】。色によって結婚相手すらも決められてしまう天供島で、【白】はどんな相手とも婚姻を結ぶことができます。
これだけ聞くと、めっちゃ優遇されてるじゃん!とも思えるのですが、オランピアが求めているのは魂の半身、つまり真実の愛です。自分が心から愛し、また相手から心から愛されなくてはならないんですね。
これがね……大変なんだ。うん。数多の障害を乗り越え、魂の半身を見つけ出そうとするオランピアを応援せずにはいられませんでした。オランピアかわいい。
オランピアソワレの登場人物
ここでは、オラソワの登場キャラクターをさらっと触れていきます。深い話はネタバレにつながるため、後ほど。
オランピア ※名前のみ変更可能
唯一存在する【白】の少女で、本作のヒロイン。
オランピアというのはあだ名、通り名であり、本名のみプレイヤーの好みで変更可能。18歳の誕生日を迎え、【白】を残すために夫探しを始める。
朱砂(アカザ)CV:松岡禎丞
島の中立組織「コトワリ」の若き所長を務めており、周りからの信頼も厚い。冷静沈着で仕事に私情を一切挟まないことから「鉄仮面」と呼ばれている。
玄葉(クロバ)CV:杉田智和
ちょっとノリが軽く、よくオランピアをからかっているが、場を和ませる兄的な一面も。優秀な医学博士であり、研究に力を注いでいる。
璃空(リクウ)CV:島崎信長
天草四郎時貞 CV:上村祐翔
縁(ヨスガ)CV:内田雄馬
ヒムカ CV:堀江瞬
攻略の順番は?
璃空→時貞→玄葉→縁→ヒムカ→朱砂
の順番でした!
攻略対象6人のうち、ヒムカと朱砂には攻略制限がかかっています。4人をクリアするとヒムカ開放、ヒムカをクリアすると朱砂が開放されます。
はじめにちょっと調べたところ、シナリオライターさんが「璃空をはじめに持ってくるのがおすすめ」と話していたと小耳に挟んだので、まず璃空を選択しました。
璃空ルートは、天供島の根幹に関わる「色層」という階級制度を理解しやすいルートだと思います。そのため、璃空を初めにやっておくと、その他のルートもすんなり入ってくる、ということなのかなと思いました。
時貞は、個人的には年下キャラがあんまり好きでないので、初めにやっておこうかなーということでチョイス。時貞以降はフィーリングで選びましたが、良いチョイスだったと思います!
オランピアソワレをクリアしてみての感想(ネタバレなしバージョン)
冒頭でも述べた通り、まったく内容を知らずに買ったもので、最初びっくりしちゃったんですが……。オラソワってCEROレーティングD、17歳以上対象の乙女ゲームなんですね。
なので、全キャラともに大人な描写が登場します。描写以外でも、ちょいちょいキャラクターがびっくりするような発言をします。
なので、糖度の高いゲームが好きなら、やってみる価値あると思いますね。
あとは描写もイラストもすごく美しくて、うっとりするような世界観が表現されていると感じました。スチルを眺めているだけでもなんだか幸せになれるタイトルですね。
物語の方では、やっぱりポイントとなるのが”色”。ファンタジーの世界に向かって、「なに馬鹿なこと言ってんだ、おい!」と叫びたくなるような描写が山盛りてんこもりなのですが、これが天供島ではむしろ当たり前なんだよな……と思うと、なんだかやるせない気持ちになったりもします。
オラソワはサブキャラもずいぶんと個性的で、ルートによってはずいぶんとひどい扱いになったりもします。そこだけ切り取ると「とんでもねえ奴だな!」と憤りしかないんですが、ここにも”色”が深い問題となっていることがわかってくると、やっぱりやるせない……という。
どの悪役も結局は憎みきれないという、非常にグラデーションのあるタイトルです。こいつをやっつけてめでたしめでたし!という気持ち良さは、得られにくいかもしれません。
でも最終的にはどのルートでも、オランピアは幸せになりますのでね。そこはめでたしです!
物語は随所随所に伏線が張り巡らされていて、1つのルートをクリアしただけでは謎が残ることも多いです。それが「先が気になる」と、次のルートへと進むエネルギーになったりもします。
謎、という意味では、個性豊かなサブキャラたちの方に惹かれてしまいましたね。ゲームを進めていくと、「あのときの発言は、こういうことだったのか……!」みたいな気づきがあったりして、結構楽しいです。
あと、すべてのエンディングを見ないと特典である「登場人物の手記」がコンプできない仕様なのですが、全バッドエンドにスチルがつくという気合の入りっぷりなので、エンド回収も苦にはなりませんでした。
私はあまりバッドエンド見たくない派なんですが、オラソワのバッドはしっかり作り込まれていたので、どれも必見だと思います。悲しいもの、怖いもの、胸糞なものまでバリエーションも豊富です♪
ちなみに「手記」はサブキャラのものまで用意されており、これで本編の内容を補完している部分もあるので、全部開放することをおすすめします!
ネタバレあり感想
ここからは、各ルートごとのネタバレ感想をつらつらと述べていきます。未プレイの人は見ないでね!
璃空の感想
璃空は青の次期・長ということで、現在の長である珠藍大姉からすごく可愛がられています。珠藍は青の色を残すことをすごく重要視しているため、オランピアと璃空との婚姻には猛反対。このルートは、とにかく「珠藍大姉こえー!」なルートだったように思います。あと叉梗ね、こいつもいい感じに嫌なヤツでした。
璃空ルートを真っ先にやったことで、「珠藍=怖い人・叉梗=嫌なヤツ」という強い認識がわたしの中に植え付けられたわけですが、後々のことを考えてもこの流れがよかったと思います。実は珠藍と叉梗は単なる怖くて嫌なだけの人物ではなくて、最終的にはけっこう好きな2人組になっちゃったくらいにはストーリーがあるので。
璃空は最初、オランピアに対してはそこそこ冷たい態度を取っていて、だからこそ惹かれていく過程がなんとも可愛らしいキャラでもありました。ただ「展開早くない???」とは思いました。えっ、璃空はいつの間にそんなにオランピアが好きになってたの??みたいな。
これはどのルートにも言えることですが、オランピアが夫探しを始めてから、恋に落ちたり事件が起こったりするのがハイスピード過ぎるんですよね。夫探しの期限は1年間与えられていたわけだし、もう少しじっくり時間をかけても良かったんじゃないかなというのが個人的な感想です。
それはそうと、璃空は30歳になるまで女性と仲良くしてはいけないという決まりがあったので、女性にとんと疎い。生真面目な性格も手伝って、本当に奥手です。なのでこのルートでは、後半はオランピアがグイグイですよ、もうグイグイ。オランピアだって決して慣れているわけではないはずなのに!このあたりの積極性には少しばかり驚かされたものの、結果オーライということで……笑
とにかく可愛い!なルートでした。
バッドエンドは、璃空がオランピアを守るために拔の力で人を殺してしまい、その咎として死刑執行人になってしまうものと、ラストシーンで叉梗と一緒に波に攫われてしまうものでしたね。
とくにわたしは叉梗と一緒に波に攫われてしまうバッドがお気に入りです。こちらの場合、ラストのスチルではオランピアと珠藍大姉が描かれています。このシーンの珠藍が、すごくオランピアに優しいんですよね。いつもあんなに刺々しかった珠藍が、いったいどうして?と不思議だったんですが、最後に開放された珠藍の手記を読んで合点がいきました。
珠藍は、オランピアに嫉妬していたんですよね。でもあのバッドエンドでは、オランピアは愛する人と添い遂げることもできず、だから子を産むこをもできなくなった。珠藍とまったく同じ境遇となってしまったわけです。だから珠藍はオランピアに対して心から優しくなれたのだと思います。母のように、姉のように。
時貞の感想
時貞はとにかく可愛い年下キャラですね。わたしは年上系キャラの方が好みなので、あれですけど、オランピアも時貞もとにかく可愛いルートでした。
時貞ルートでは、色による周囲の反対がほとんどなかったです。璃空ルートではあんなに恐ろしかった珠藍大姉もニコニコで祝福してくれてたし。時貞は20歳を迎えていないのでまだ結婚はできないはずだけど、「えっ、みんなそこは気にしなくていいわけ?」とツッコみたくなるくらい順風満帆でした。
問題は、主に時貞の心の中でしたかね。過去の記憶と、現在の置かれるマレビト(なのにまだ何も成し遂げていない)という状況において、若いからこそ悩み苦しみ……という感じ。そのへんもひっくるめて、なんか可愛いなーという印象でした。
バッドエンドは、罪を犯した時貞と一緒に船で海へ出るものと、変な薬を使われてまさかの狩稲とえー!?!?なものでした。これは衝撃だった……
海へ出るバッドは、もう逃げられないし助からないと悟った2人が、離れないようにお互いの腕を縛って船に乗るもの。沖へ出ればきっと海の藻屑となることはきっとわかっているはずなのに、微笑みながら寄り添う2人のスチルはなんかグッとくるものがありました。来世で幸せになるんだぞ!的な。
いやー、それにしても衝撃なのがもう1つのバッドですよ。どこのルートでもいろいろやらかしてくれる柑南のヤツがね、ここでもまたやらかしやがった。柑南の兄である狩稲とオランピアにそれぞれ幻覚が見える薬(たぶん)を飲ませて、2人がまぐわうように仕向けたと。狩稲は亡き恋人である沙波の、オランピアは大好きな時貞の幻影を見ながらお互いに別人と交わっているという……ひぃ、鬼畜。おい柑南んんんんん!!乙女ゲームでこんなバッドエンド、ありなの??という驚きを隠せませんでした。
とまあ、随所で柑南のヤツはとにかく酷い。なぜこんなにもオランピアを、実の兄を目の敵にするんだ?と謎だったわけですが、これも手記でなんとなく明らかになりましたね。
剝に罹って交配機能を失ったからこそ、柑南はハズシという大罪を犯してでも一人の女性を愛し抜いた狩稲が羨ましく、憎らしかったのでしょう。そしてオランピアのことは、歪んだ愛情だったんですかねえ。好きなんだけど、自分とは決して結ばれることがない。それならいじめてしまえ!憎んでしまえ!という……なんか悲しいな。
オラソワの中でも、柑南はなかなかの嫌なキャラに入りますが、手記を読むと彼は彼でこの島に深く根付いた色層文化の被害者なのかな、とも思えて、やるせないのでした……。
玄葉の感想
玄葉は初見から好きでした!やってからもやっぱり好きでした!玄葉大好き!
常に余裕ありげに見えたけれど、やっぱり「黒」の呪いみたいなのが身に染み付いていて、時々すごく自分を低くしてしまうところが痛ましかった。オランピアの髪の色が染まるシーンでも、他のキャラは驚くだけなのに、玄葉だけは怖がって怯えて、オランピアから距離を取ってしまうんですよね。
薙草のバカヤローに襲われかけた後、その事実を告げられた玄葉が余裕をなくしてオランピアを組み敷くシーンがとくにお気に入りです。あの玄葉といったらっ!キュンとしちゃうよもうっ!!
あと驚いたのが、玄葉の生い立ちですかね。黃の前長である葉金の息子だったと。そう言われてみると、玄葉って着てるものも少し黄色が混じってるし、そういうところ意識されてるんだろうなーと思いました。
ただ葉金殿は、話が進むにつれて嫌なヤツだってことが判明したし……。そう考えると、玄葉はこれで良かったのかな?という気もする。導魔の提案通り、黃に戻って朱砂や璃空と一緒に島を盛り立てていく未来もアリだと思いましたが!
バッドエンドは、玄葉が剝に罹って死んでしまうものと、まさかのオランピアが玄葉に刺されるものでした。刺すエンドはびっくりしたよね……。あの大人な玄葉が!?と思ったんですよ。いやでも、改めてよーく考えてみると、やりそうなのはやっぱり玄葉かもなあ。
薙草のバカヤローに嵌められて濡れ衣を着せられ、処刑されることが決まった玄葉が最後にとった行動、それが「オランピアを殺して自分も死ぬ」だったわけですよ。愛した女を他の男に取られるくらいなら、一緒に死のうと。これはこれで、潔いほど美しいバッドエンドですね。
このエンドを迎えた後にトップに戻ると、玄葉が「これで彼女はずっと俺を愛し、俺もずっと彼女を愛す。これで良かった」と語っています。でも最後に「きっと次に出会ったときこそ間違えない」的なことも言っていて、玄葉の苦しみが伝わってくるようですね……!幸せになれよ、2人とも!
縁の感想
なかなか「ヨスガ」という読み方を覚えられなくて苦労しました(そこ?)。それはそうと、やっぱり玄葉と縁は後の方に持ってきて正解でしたね。
縁はちょっと掴みどころのないキャラクターでしたが、「紫」の生き残りであることやお姉さんが死んだ謎など、読み応えのあるルートでした。全体的にずんと重い雰囲気が漂っていましたが、だからこそ黄泉の人たちが地上へ行けるようになったことや、縁が見せた満面の笑みなどが心から嬉しく思えるルートでもありました。
縁によって初めて叉梗と珠藍が兄妹だと明かされました。でも璃空のバッドエンドでは珠藍は叉梗のことを「半身だったはずだ」と言っているし、叉梗も明らかに珠藍のことが好きだし、かと思えば珠藍は手記では叉梗のことを「信頼し合った知人」だとしているしで、エッエッ結局何が本当なの???とかなり惑わされてしまいました。
叉梗の手記も合わせると、結局のところ叉梗と珠藍は実の兄妹であるが、叉梗は青紫が出たために幼い頃は顔も名前も知らずに育ったこと。お互いを兄妹であると知らずに出会って惹かれ合ったものの、間違いなく血は繋がっており結ばれることはない(珠藍はこれを『ヒルコ様が間違えた』と言っていますね)こと……というのが真実なのでしょう。
なんかそんなこと聞いちゃうとさ、あんなに嫌なヤツー!と思ってた珠藍も叉梗も憎めないじゃん。しかもわたし的にはこの2人のことがめちゃめちゃ気になって、本編よりも印象に残ってしまったし……どうしてくれるよ。
さて、話を戻しまして、縁のバッドエンドね。縁が叉梗を殺してしまい、逃げられないからオランピアに拔で消してほしいと頼むエンドと、叉梗によって縁が囚われてしまい、命を助けたくば取引に応じろとオランピアが脅迫されるエンドの2つです。どちらも結構な重みがありました。
まず前者は、バッドエンドのくせにやけに甘い。スチルも甘い。縁を消す前に2人は結ばれ、その一夜でオランピアは身ごもります。ラストはお腹の子どもとオランピアと、晶になってしまった縁の3人(正確には、お世話をすると買って出てくれた千茅の4人で)天女島に戻るというもの。悲しいけれど、やけに爽やかな……なんか小説的なラストシーンでした。
後者はなんというか胸糞系でね……。オランピアは、囚われた縁を助けるために叉梗の取引に応じることにします。というのが、「たくさん白の子を産むこと」「白の女は本当に白しか産まないのかを検証すること」でした。そのためにオランピアは、縁のいなくなった部屋で毎夜男と閨を共にすることに。ただ、オランピアは最終的にはおそらくその男たちを一人残らず拔で消しているようですが。天女島の女は、本当に愛した半身とでなければダメなのでね……。ただこのスチルのオランピア、半端ない色気を纏っていてこれはこれで美しいんですけども。
ヒムカの感想
さてさてさて!ここまでの4人がクリアできると、やっとヒムカルートが開放されます。他キャラのルートではほとんど顔を出さないヒムカ、見た目は可愛い年下系なのか?いやしかし謎が多すぎるな?というところからのスタートでした。
ヒムカルートは甘さというより、世界観のネタバラシ的な意味合いが強かったと思います。ヒムカは卑留呼さまであり、天供島を作った神様だったんです。スケールの大きさよ。
ヒムカははじめ、オランピアにアマテラスを見ていた。ヒムカによってアマテラスは美しく愛しい妹です。(どうやら、神様間においては血縁?で結婚するのはよくあることみたいなので、もしかしたら恋情も混じっていたのかもしれない)アマテラスは同じくヒムカの弟のスサノオに殺されてしまったけれど、オランピアが18歳になる頃にその身体を依り代にして戻ってくると言っていたから。ヒムカはオランピアを通して、アマテラスを見ていたわけです。
でもオランピアと過ごす日々を通して、アマテラスではないオランピア自身に惹かれていった。ヒムカは神様で色を持たないから結婚できないはずだったけど、特別な力によって人間に生まれ変わることができた――というお話でした。
恋愛についてどうこうというより、「この話はそういうことだったのか!」なスッキリ感が味わえたルートでした。あとヒムカが声を荒げるシーンがやけにかっこよくてお気に入り。
バッドエンドは、オランピアが晶にされてしまい、ヒムカが新しく2人だけの楽園を作るエンドと、またまた叉梗と柑南が登場して攫われエンドの2種類です。
ヒムカは実体のない神様だったので、魂の入れ物としての身体を月黄泉に作ってもらっていました。それと同じように、オランピアそっくりの人形を作ってもらいます。晶になってしまった魂は常世虫と呼ばれる蝶々に移したそうです。虚ろな表情のオランピア人形に語りかけ、花冠をかぶせてあげるヒムカ……なんとも痛々しいエンドでした。
もう1つがまたね、またあいつらですよ。叉梗と柑南ね。ルートは違えど、2人の望みは変わりません。叉梗は「剝の治療のために白を研究したい。だから白の子がたくさん欲しい」柑南は「こんな世界なくなっちまえ」です。叉梗はともかく、柑南の自暴自棄な感じなんとかしてマジで。
で、攫ってきたオランピアに黄泉の子どもである海浬をあてがい、白の子を産むか世界が滅ぶのか賭けてみようぜ……的な展開になってエンド。
このとき、海浬自身はどうだったんですかね。こんな世界は滅んでほしいと思う一方で、オランピアを目の前にしてちょっと怯んだ様子を見せたり、小さな頃に聞いた眠り姫のお伽噺のことを思い出したり。続きがちょっと気になるエンディングでもありました。
朱砂の感想
やっと朱砂です。ヒムカ開放の段階で相当なネタバラシだったのに、これ以上の攻略制限って何よ???な人でした。
朱砂はコトワリの所長で、赤の次期長と言われている人物。はっきり言って出来すぎくんです。周囲からの評判も良すぎ。どのルートでも「オランピア様の夫は朱砂様で決まりでしょう」と言われまくってきました。
ので、なんの障害もないでしょう!と思いきや……ここでもまた神様たちのちゃちゃ入れが激しい。おいおい神様、人間に干渉しすぎじゃない?とツッコみたくなります。
なんと朱砂は、アマテラスを殺したスサノオの血を引いているというのです。天供島で原色と呼ばれ、もっとも位の高い色が赤・青・黃。そのうち、青には拔の力が、黃には卑留呼様の声を聞く力が与えられましたが、赤は呪われた色として蔑まれていました。それは、赤がスサノオが死んだときに飛び散った血からできた色だからです。
そんなもんただの伝承でしょ、と思いきや、れっきとした神様であるヒムカや実は神様だった月黄泉も同じことを言います。伝承は真実だったんですね。そのため、ヒムカも月黄泉も朱砂が大嫌い。これまでの月黄泉は「なんかどーも胡散臭いけど、オランピアのことを大事に思っている保護者」であり、誰との結婚についても「お前が良ければ僕は反対しないよ」なスタンスを貫いてきました。なのにここにきて、「朱砂だけは絶対にダメだ」の一点張り。えっ、どうしたの月黄泉。ここにきてラスボス的な感じを醸し出してこないでよ?えっ怖い。
それはそうとやはり朱砂、メインヒーロー感たっぷりでめちゃめちゃかっこいいです。ぶっちぎりです。わたしが一番好きなのは玄葉だけど、それでも朱砂はかっこいいと思いました。
とくに気に入ってるのが、オランピアが舞を舞って、でも太陽が昇らなかったシーンです。人々が舟で戻ってくるオランピアに対して罵声を投げつけるなか、颯爽と現れた朱砂がオランピアの盾になるところ。普段落ち着いたトーンで話す朱砂が声を荒げ守ってくれる姿に、気持ちを全部掻っ攫われましたね。これは惚れる。
朱砂ルートのバッドエンドは、朱砂がイザナミに誑かされてオランピアを刺し殺すエンドと、通称”月黄泉エンド”の2つです。
スサノオがアマテラスを刺した剣が天供島に流れ着き、それをたまたま朱砂が手にする。何度捨てても戻ってきた――という因縁の深い剣で、朱砂はオランピアを刺してしまいます。朱砂もオランピアもそれが島のためになるのだと信じて、朱砂は泣きながらそうしたわけですが……いやほんとにイザナミな!ひどい神だ!!
さて、もう1つの月黄泉エンドですが……個人的に月黄泉が好きなので、バッドではありますがちょっと嬉しかったですこれは。月黄泉も不思議な人(神)なんですよね。アマテラスは妹(だったかな)であり、復活を待っているのも確かなのに、それと同時にオランピアのことを本当に大切に思っています。アマテラスが復活するのはつまりオランピアがオランピアでなくなるということであり、それを阻止するためにめちゃくちゃ大変なことをしでかすわけです。めっちゃ自己中だし、めっちゃ人っぽいよね?
朱砂とのことを反対するのも、純粋にオランピアを守りたい気持ちから。「赤い男=スサノオ≒朱砂」は「アマテラス≒オランピア」を不幸にすると考えているからなんですよ。で、月黄泉エンドではアマテラスの鏡の半分を割ってしまいます。
それによりアマテラスは復活できなくなり、天供島は壊れ……でも月黄泉が連れ出したオランピアだけは生き残りました。「お前を愛しているのは僕だけ。だからお前も僕を愛するしかないのだよ」と優しく語りかける姿は愛情と狂気に満ちていて、なんかもう~~~~いい!って感じ。
わたしは最後まで、全員攻略したらシークレットで月黄泉が開放されないかなと思っていたくらいなので、バッドでも見られて嬉しかったです。いや、バッドだけどもな……笑
導魔大師の感想
当然、攻略対象じゃないんですが、これだけどうしても言いたかったので言わせてほしい。
導魔は序盤から「この人、口はあれだけど絶対オランピアのこと大事に思ってるよね?」という雰囲気がめちゃめちゃ出ていたんですよね。オランピアは導魔についてはめちゃめちゃ色眼鏡で見ていて、全部悪い方に悪い方に考えていたけれど、「いやちょっと待って!?わかってあげてー!?!?」なシーンがたくさんありました。
オランピアの意見は尊重してくれたり、あわやというところではかばってくれたり、めちゃめちゃしてましたよ。なぜわからないオランピア!親の心子知らずとはこのことかっ!と、本編にはあまり関係のないところで悶ておりました。
途中からは「あっ、これ導魔がお父さんなんだな」と気づいたので、いつネタバラシされるのかをハラハラハラハラ見守っていたのですが、結局朱砂ルートになるまで明かされなかったね。やきもきしたわー。
導魔が小さいオランピアを抱いて神様に喧嘩売るシーン、すごいかっこよかった。オランピアと導魔が抱きしめ合うシーンではガチで泣きましたし……。
さいごに
ネタバレ感想まで読んでもらうとわかるかと思いますが、攻略対象でないサブキャラもすごく魅力的で、且つ深く設定が作り込まれている作品でした。
謎や伏線もいっぱいあって、バッドエンドも読み応えがあるので、最後まで飽きずに楽しみながらプレイできて大満足です。
ファンディスクも出てほしいなー、楽しみ!ということで、今回はここまで。
あー、めっちゃ長くなった……。次回からはネタバレ感想はキャラごとに分割しようかな。まとめて書くの大変でした笑。