『VARIABLE BARRICADE NS』感想|訳あり物件なイケメンたちが超絶お金持ちお嬢様を巡る、一風変わった乙女ゲーム

乙女ゲーム・恋愛アプリ

2020年6月18日にオトメイトから発売された『VARIABLE BARRICADE NS(バリアブル バリケード ニューステージ、通称バリバリ)』をプレイしました。ちなみにNSはSwitch版で、もともとは2019年4月にVita版が発売されています。

Vita版は未プレイです。『逆攻略系ラブコメ』という変わったジャンルなので、前々から気になっていたんですよね。で、今回Switch版が発売されると聞いて、ポチりました。

フルコンプしたので、忘れないうちに感想を書いておきます!ネタバレは後半にありますので、まだプレイしていない人はご注意を!

※画像引用:公式サイト

 

VARIABLE BARRICADE NS
――出会って5秒でプロポーズ! ? 名門東条家の一人娘・ヒバリの前に現れた謎の美形男子たちは、 彼女の天敵である祖父が差し向けてきた花婿候補だった。 ヒバリの勘は告げていた。この話、きっと裏がある。 何故、今なのか。そもそも彼らは何者なのか。 どう考えても怪しすぎる話に断固拒否の姿勢を見せるも、祖父の...

 

バリアブルバリケードの世界観、概要

――出会って5秒でプロポーズ!?

名門東条家の一人娘・ヒバリの前に現れた謎の美形男子たちは、彼女の天敵である祖父が差し向けてきた花婿候補だった。

ヒバリの勘は告げていた。この話、きっと裏がある。
何故、今なのか。そもそも彼らは何者なのか。
どう考えても怪しすぎる話に断固拒否の姿勢を見せるも、祖父の決定は絶対。
あれよあれよという間に別邸を与えられ、結婚を前提とした共同生活が始まった。

4人の男たちはあの手この手で彼女を口説き、婿の座を狙う。
めくるめく誘惑の日々の中、ヒバリは固く決意した。

絶対落ちてやるものか、と――

バリアブル バリケード公式サイトより引用

絶対的超絶お嬢様のヒバリちゃんと、彼女を巡る4人の花婿候補とのハチャメチャドタバタラブコメディ。一言で表すならば、バリバリはそんな感じのお話です。

4人は全員イケメンですが、性格はバラバラでみんなクセありまくり。そのうえ身上調査書には「結婚詐欺師(未遂)」「ギャンブル狂」など不名誉すぎるレッテルがべたべたと……。

怪しすぎる! 財産目当てに違いない! そうでなければどんな思惑が……?

当然、ヒバリちゃんは疑心暗鬼にとらわれます。しかし彼らとの共同生活を通して、そんな気持ちにも徐々に変化が。

訳あり物件な彼らが抱える事情とは。そんな彼らを送り込んできた祖父の思惑とは。彼らとの交流がヒバリちゃんに与える影響とは。

ただのラブコメだと思っていると、あっという間に足元をすくわれる。そんなドキドキ感を兼ね備えた新感覚な乙女ゲームです!

ちなみにヒバリちゃんは根っからのお嬢様ですが、めちゃめちゃいい子でかわいいです。プレイ中、なんど「ヒバリちゃん、かわいい……!」と心の中で呟いたか知れません。

バリアブルバリケードの登場人物

バリバリの主要人物である花婿候補の他、魅力あふれるサブキャラクターも紹介します。みんないい味出してますよ。

東条ヒバリ CV:藤田咲

「全方位型バリケードレディ」

名門・東条家の一人娘で本作のヒロイン。
自分の立場をしっかり理解しており、非常に頑張り屋の努力家。「東条家の娘」として恥ずかしくない行いをしなければと、常に気を張っている。
表向きは大人びた模範的優等生ではあるものの、実際のところは……?

光森壱哉(みつもり・いちや) CV:鳥海浩輔

「愛情過多なスーパーダーリン」✕「結婚詐欺師(未遂)」

4人の花婿候補の中では一番の年上で26歳。常に理想の恋人でありたい恋愛特化型ヒーロー(公式サイトママ)。一見するとスマートな大人男性だが、そこはかとなく漂うテンプレ感と薄ら寒いキザなセリフが特徴。

石動大我(いするぎ・たいが) CV:岡本信彦

「俺様ゴーイングマイウェイ」✕「ギャンブル狂」

名門の花婿候補に立候補したとは思えない荒っぽさ。良く言えばワイルド系。見た目通り、型にはめられるのを嫌う自由人だが、その言動は意外と……?

黛汐音(まゆずみ・しおん) CV:野島健児

「ゆるふわ愛されビューティー」✕「天性のヒモ」

顔がいい。どこまでもゆるふわで愛されていれば満足。穏やかで優しいけれど、興味のない相手に対しては恐ろしいほどの塩対応。あと顔がいい(2回目)

八神那由太(やがみ・なゆた) CV:下野紘

「猪突猛進ポジティブわんこ」✕「歩く借金製造機」

まさにわんこ。どこまでもわんこ。人懐っこくてかわいい系代表。健康優良児で力持ち。これと決めた相手の役に立ちたい願望が強く、時折心配になる。

春日 CV:田丸篤志

ヒバリ専属の執事。ヒバリ至上主義だが、本人にも手厳しい。そして他人にはもっと手厳しい。

鹿野紬(かの・つむぎ) CV:杉浦しおり

ヒバリの親友。華道宗家の一人娘でおっとりしとやかな和風令嬢だが、プライベートではディープなオタクでコスプレイヤー。いいキャラしてる、この子。

攻略の順番は?

大我→那由太→汐音→壱哉でした!

4人の花婿候補には攻略制限はとくになく、どの順番でやってもOK。ただ公式サイトでは壱哉を最後に持ってくるのが一番スッキリすると書かれていたため、そうしました。

壱哉はメインヒーローなので、なるほどこれは最後で良かったかなと納得でしたね。

とはいえ、他のキャラのネタバレがあったり、ということはないので、ある程度好きなように進めて大丈夫かなと思います。

バリアブルバリケードをクリアしてみての感想(ネタバレなしバージョン)

ジャンルも「ラブコメ」だし、キャラ同士のやり取りにもコメディタッチな部分が多く、明るく楽しくプレイできる乙女ゲームかなーと思ってたんです。いや、それは間違いではないんだけどね。

でも、それだけでプレイしてると途中でいきなりガン! と頭を叩かれるような……そういう展開もあります。やっぱりね、みんなそれぞれ事情抱えてるんで……。

でも、そういう展開があるからこそグッと引き込まれる感があるのも事実ですね。ワチャワチャ感も決して悪くはないし好きだけども!

内容についてはネタバレのところで触れるとして、システム面で感じたことを少々。

まず驚いたのが、「フルオープン」が使える点です。これは文字通り、開放されていないスチルやエンディングなどをすべてオープンにできる機能。Vita版をクリアしているからNSで追加されたコンテンツをさくっと見たい! という人や、見逃したエンディングを労せず見たい、という人におすすめだそう。

もちろん「フルオープン」を使うためには条件が設定されていて、一度トゥルーエンドまで見ていないと解けないようになっています。エンド回収がめんどい……ってことが往々にしてあるので、画期的なシステムだなあと思いましたね。

それと、特徴的な「ボード」ですかね。すごろく形式でシナリオが進んでいく方式です。

1つのシナリオが終わる度にこの画面に戻されるので、没入感が薄れるデメリットがありつつも、残りがどれくらいなのか把握しやすいというメリットがあります。

設定で「連続プレイ」を選べば、いちいちボード画面に戻ってこないようにもできるみたい。なので、ここは好みで使い分けすれば良いかと思いますね。

ネタバレあり感想

ここからは、各ルートのネタバレ感想を自由に述べていきます!

大我の感想

大我は花婿候補たちの「監視役」といういわばスパイ的立場で、本当の花婿候補ではありませんでした。とはいえ、当初から他の3人に比べてヒバリちゃんへのアピールはほとんどなかったので、「なるほどそうだったのね」感はありましたね。それはヒバリちゃんもそうだったみたい。

とはいえ、4人の中では実は一番の常識人なのでは? とも思える言動や、ワイルドさの中に滲む頼れる男感。ヒバリちゃんがあっさりそうなったように、わたしもわりと序盤から大我さんが好きでした。

しかししかししかーし! ですよ。そこからの落差。ええええ? な落差にびっくりさせられたよねマジで。ええ、こういう展開なの? マジすか……と、ヒバリちゃん同様にどよーんとなってしまったよ。

簡単にいえば、ヒバリちゃんからの「大我さんすごい! 頼れる!」という疑いの一切ないマナコにひどくプレッシャーを感じた大我さんがヒバリちゃんの前から逃亡するという……とんでもねー展開になったわけです。

いやまあ、おかしいとは思ってた。だってまだまだ尺が残ってるのに、2人とも相思相愛っぽくなりつつあって、えーこのままエンディングってこともないだろうし、どうなるの? と思っていた矢先ですよ。まさかのヒロインの前から攻略対象が逃亡。

……そんなことある? そりゃあエンディングを迎える前に何かしらの問題が生じるのは乙女ゲームの常ですし、それがなきゃ物語が成立しないです。でもだいたいはすれ違いだったり、共通の敵だったり、そういうんじゃないですか。

まさか、まさか、まさか攻略対象が「ヒロインが重い」って逃げ出すなんて……逃げられたヒロインが「私が悪かったの」「悪いところは直すから早く帰ってきて」と打ちひしがれる様子をギリギリと見させられるとは……思わなかった。これはものすごく斬新な展開だと思いました。

財閥の一人娘に花婿候補、なんていかにも乙女ゲームの設定的な設定から一転、すげえリアリティじゃねえか……。こういう落とし方はほんと新しいですよね。

ヒバリちゃんと一緒になってどよーんとなってしまったので、ほんと最後の最後まで息を呑んで見守りました。無事に大我さんが戻ってきてくれて、本当に良かったよ……。

それはそうと、大我さんルートは結構どきどきが詰まっていましたね、わたし的に。まずゼッケンイベントで後ろからぎゅっとするシーン、あれ良かった。照れてる大我さんがかわいくてねえ。夜な夜な愚痴りにくるヒバリちゃんをベッドに押し倒すところも良かったなー。序盤にいいシーンがまとまっている反面、後半のどよーん感がヤバかったとも言えるけど。

でもまあ、わたしはギャップに弱い系なので、俺様が見せる弱さってのもなかなか美味しかったですね。うん!

那由太の感想

那由太はねー、かわいい系でしょ。正直あまり好みではない、好みではないが! ここでもギャップだよね~~~~。なにあのお仕事モード。反則反則。

通り魔をやっつけたときの那由太、鼻血が出るほどかっこよかったよね。

やーでも、那由太ルートも大我ルートのときと同じで、途中でガーン! と一度落ちましたね。まさかの大我に続いて、那由太も純粋な花婿候補じゃありませんでしたって。じゃあもうほとんど花婿候補じゃないじゃん!

那由太は要人警護を生業とする八神家の家系で、でも自分が守りたい人しか守れない。だから過去に警護の仕事で失敗して、八神の家からは勘当されてしまった……と。でもヒバリちゃんが理想のご主人さまだって思い込んで、花婿じゃなくて護衛官に任命されたかったわけですね。

恋愛感情と「主人を守りたい」という気持ちを勘違いしてしまったヒバリちゃん、また傷心ですよ……。なんとかわいそうなヒバリちゃん。そういう勘違いっていろいろなシーンでありますから、これもまたリアリティ満載でグサグサくる展開でしたよねー。

那由太は後半、鎌倉にいるヒバリちゃんに会いにいくシーンが良かったです。ヒバリちゃんが窓から顔を出して、庭にいる那由太が「助けにきた」っていうところ。あれ、ロミオとジュリエットかな……? というほどに美しかった。

というか、バリバリはビジュアルが半端なく良すぎ! 綺麗すぎ! 美しすぎ! ずるいと思う。ちびキャラもかわいいし。ビジュアルはほんと文句なしに200%です。

汐音の感想

どのキャラもビジュアル良すぎだけど、汐音さんは中でもぶっちぎりに美しいです。今の汐音さんも綺麗だし、アメシストだった頃もマジ天使。

大我さん、那由太くんに比べると、そこまでドガーン! と落とされた感はなかったかなという印象でした。それでもまあ、突然モデルの仕事を始めた汐音さんに放置されたりすっぽかされたりとかわいそうな目にはあってるんだけど、前2人と違って汐音さんはそれをあえてやってるから。

よりヒバリちゃんを好きになったがために、わざと突き放すような真似をしているというところがちょっと違うかな、と。

それともつながると思うけど、汐音さんルートは上がったり落ちたりが激しくない、比較的緩やかなルートだった気がしますね。ヒバリちゃんがルウに嵌められたり、ちょこちょこ問題は起こるものの、そこまで大きくはないというか。

緩急が緩やかで、たっぷり愛情を注いでくれる、見ていてわりと安心感のあるルートだったのかもしれないなーと思いつつ、個人的にはもう少し汐音さんが苦悩したり、そういう姿が見たかったかな。

そういう意味では、序盤の猫カフェのシーンがすごく好きでした! あの汐音さん、めちゃめちゃうろたえてたし(笑)。

壱哉の感想

なんやかんや言って、最終的には一番好きになったような気がするから恐ろしい壱哉さん。やっぱりね……弱い顔を見せてほしいんだよね……。

でもさすがに、号泣シーンには驚かされました。ほんと攻めてるよね、バリバリ。攻略対象をあんなふうに泣かせる乙女ゲームなんて、今まであった? 信じられない(褒めてる)。

キザなセリフを吐いてはヒバリちゃんに冷たく睨まれてたり、それを他の3人にからかわれてたり、本人だけは大真面目なのにもはやネタ要員となりつつあった壱哉さん。メインヒーローのはずなのに!

でもそんなところもいい。おもしろいから。

それに輪をかけてあの号泣ですよ。もうダメだ。おもしろいしかわいすぎる。ヒバリちゃんが新しい扉を開けてしまった気持ち、わかります。

カズさんとのやり取りでは、ちょいちょい胸が苦しくなるようなシーンもありました。あんだけ自信満々だった壱哉さんの苦しげな様子とかね、ほんと見てらんないと思ったわ……。

そして最後のサスペンスドラマシーンですよ。極めつけの。かつて乙女ゲームで、あんなエンディングを迎える展開がありましたね? 攻略対象がヒロインに対して「死んでやる!」って……嘘でしょ(目眩)。そしてそれにときめくヒバリちゃん、嘘でしょ(目眩)。

でも壱哉さんがかわいいから許す。そして春日の言い放った「ヒバリ様は自分にわかりやすく依存してくれる人を求めてる」的な解説でやけに腑に落ちたので結果オーライとします! とくに高校生くらいなら、そういうのあるもんね! ここでもやたらとリアリティ。

というわけで、何度(嘘でしょ)と思ったか知れない壱哉ルートでしたが、あの泣き顔にほだされ、やらかしてへこむ姿にほだされ、結果的に壱哉推しになったことをここにご報告いたします。

トゥルーエンドの感想

春日が最後にくることはわかっていました。ただ、「春日が実はヒバリちゃんのことを女の子として好きだった」パターンで来るのか、それ以外で来るのかが判断つきかねていて。

トゥルーエンドに入ってすぐ、紬が「恋愛感情ではない」と言い切ったところで、「じゃあ兄かな?」と。当たってましたね。

春日がツバメになって言葉遣いとかがガラッと変わるのは、だいぶ好きなんですよね。いっそのこと恋愛にもっていってくれても良かったのでは!? と思えるくらいには春日が魅力的なんですけども、でもヒバリちゃんにとっては、兄エンドのほうが良かったんだろうなーきっと。

祖父とも和解して、死んだと思ってた両親も実は生きているとわかって、自分を何より大切に思ってくれている兄がそばにいて。

幼い頃からひとりぼっちだと感じていたヒバリちゃんにとっては、まさにこれがトゥルーエンドであり大団円というやつなんだろうなと思います。

まあいくらかっこよくても、春日のブラコンっぷりは異常だと思うけどね!? でもまあ、許す! イケメンだから。あんなかっこいいお兄ちゃんがいたら、きっと甘えたくもなるだろう。うん。

さいごに

個人的にバリバリは、「すごく攻めてる」乙女ゲームだと感じました。はじめ、あまりオトメイトっぽくないかな? と思ったのは、このあたりが理由かもしれない。

斬新な設定や展開、キャラ作りなど、単純にゲームをプレイする以外にもいろいろと唸る点がありましたね。

糖度がどうこうというよりは、この独特な世界観や個性豊かなキャラ同士のワチャワチャ感を楽しめる作品だと思います。もちろんキュンポイントもたくさんあるけどね!

ヒバリちゃんが悩む中で成長する様子、花婿候補たちがヒバリちゃんと接する中で変わっていく姿、そういう人間模様をじっくりと堪能できる。単なる「ラブコメ」にとどまらない深みのあるタイトルだと思いました。

 

さて、次は同日に届いた「はるとき7」を始めます~!

Vita版もあります!