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当ブログの運営者でありライターでもある私、七尾が話を聞きたい人にお願いしていろいろ教えてもらっちゃおう! というだけの自分勝手な企画、その名も(仮称)身近な人にインタビュー企画。
※正式な名称は決まっていません。

記念すべき第一弾の記事をお送りします。
*
出版社の書籍編集者を経て、フリーライターとして独立。その後制作会社のWebディレクターにジョブチェンジし、その傍らで兼業ライターとしてライティング業もこなす貶励亭ちもんさん。
インターネット上でしばしば議論される「会社員かフリーランスか問題」などと絡めつつ、ぶっちゃけフリー・会社員の働き方についてどう思う? というあたりについて、伺いました。(以下、敬称略)
準備不足の独立、安定を求めた就職
――現在はWebディレクターとして勤務されていますが、これまでの経歴をざっくり教えてもらえますか?
ちもん:もともと出版社に勤めていて、書籍の出版やサイトの管理などの業務に携わっていました。
ゆくゆくはフリーライターとして独立したいと考えていましたが、会社の業績悪化により、急遽その時期が早まって。勢いでフリーとしての活動を始めることになりました。
フリーライターとして1年ほど活動した後、現在の会社に就職することに。今は、制作会社でWebディレクターとして働いています。
――Webディレクターってよく聞きますが、具体的にどんな仕事をされているんでしょう?
ちもん:ざっくり言うと、お客さんから「こんなサイトを作ってほしい」と依頼を受けたら、Webデザイナーさんやコーダーさんにその要望を噛み砕いて伝える役割ですね。
……なんですが、今の会社は大変な人手不足でして、まったく経験も知識もなかったWebデザインもやらされています。LPのバナーとか作ってるんですが、最近ようやくかっこいいのも作れるようになってきました。

安定のろくろを回すポージング
――フリーから、また会社員に戻ろうと考えたきっかけは何でしたか。
時期が少し早まったにしろ、もともとフリーライターになろうと思っていたんですよね。就職はせず、そのままやっていこうとは考えなかったですか?
ちもん:一時はそう思ってました。でも急だったこともあって、準備が不足していたんですよね。貯金もそうですし、ブログ収入などを確立させてから独立したかったんです。
それでも順調にやっていたのですが、あるとき大型案件が終了になってしまって。そこがフリーライターとして仕事の受注数を増やすか、就職して安定収入を得るかの分かれ道でした。
結果的に妻からのアドバイスもあって、安定収入を得るために会社員になることに決めました。
――わかります。収入の不安定さは、フリーランスの最大のデメリットといってもいいかもしれませんね……。
△大人のシビアな話をよそに、ケーキをむしゃむしゃ食べる我が子たち(子連れ取材にご協力いただき、ありがとうございました)
フリーランスと会社員、それぞれの良さ
ーーインターネット上では、「会社員なんかやってられないからフリー最高!」とか、「フリーランスなんてフリーターみたいなもん」とか、しばしば議論(?)が巻き起こっていますよね。
ちもんさん自身は、一度フリーを経験してまた会社員に戻ること、働き方が大きく変わることに対して、葛藤や不安はありませんでしたか。
ちもん:正直、嫌でしたね(笑)。物事の優先順位を自分で決められないのが何より嫌でした。
会社にいると、上司やお客さんの言う通りに仕事を進めなきゃいけないじゃないですか。その点、やはりフリーランスは自由ですよね。
――確かに、良い意味でも悪い意味でも自分次第という面が強いですね。会社にいると、自分ではどうしようもない部分で怒られることも多いですし。
逆に、会社員として働くメリットというか、良かったなという点はありますか。
ちもん:一つは、技術を得られる点ですかね。
例えば今ぼくはWebデザインの仕事を押し付けられていますが、この技術は今後またフリーになったときに活かせるはずですから。
――確かに。小さい会社って一人がいろんな仕事しなきゃいけないから、自然とスキルが身につきますよね。
フリーランスは目の前の仕事にいっぱいいっぱいになりがちなので、スキルアップの機会を得にくいと感じます。
ちもん:そうなんです。
二つ目は制作会社という特性上、フリーランスの方に依頼する機会が多いので、クライアント側の視点を得られたことでしょうか。
――具体的には?
ちもん:例えば、ぼくがフリーで仕事をしていたときは、わりとクライアントの言い分を飲んじゃうところがあって。
でも今の会社で長く取り引きしているフリーの方って、結構淡々としているんですよ。「ちょっとオマケしてもらえませんか」と頼んでも、「いや、できません」ってきっぱり断ってきたり。
――あー、わたしもほぼクライアントの言うままですね(苦笑)。断ったら次の仕事がもらえなさそうとか、長くおつき合いのあるクライアントだと「まあ、いいですよ~」って言っちゃいがちで……。
ちもん:ですよね。でも依頼側としても、つき合いのあるフリーの方に去られちゃ困るんですよ。だから実際には、そう簡単に切ったりできないんです。
――うーん、確かに。わたしも前の会社でフリーの方や派遣の方に依頼するのを見てましたが、人材の確保って本当に大変ですよね。
よくクライアントとフリーランスは対等でなければならないって言われますが、フリーランス側にもそういう意識が必要なのかもしれませんね。
クライアント側から見たフリーランス
ーーフリーランスに仕事を依頼するクライアント側の立場になって、フリーに向く人・向かない人っていると感じますか?
ちもん:フリーランスに向いている人は、断れる人、じゃないですかね。
これまでフリーランスは不安定というイメージがありましたけど、淡々とブレずにいられる人は、わりと安定して収入を得られるんじゃないかなと感じるようになりました。要はやり方次第、というか。
――(おっと、苦手なことベスト3に『断る』があるぞ)

もはや笑うしかない
……なるほど。じゃあ逆に、フリーランスに向かない人は?
ちもん:向かない人は、いないと思います。いるとすればその人自身の特性ではなく、周りの環境がそうさせるのかなと。
何かをやりたいと言ったとき、反対されちゃう環境にいる人には難しいですよね。逆に賛成してくれたり、賛成までいかなくてもほっといてもらえる環境があれば、誰にだってできると思います。
――わたしの場合も、周りに反対する人がいなかったのでこうなった感はあります。夫は賛成もしないけど反対もしないタイプなので。
クライアント側からしても、つき合いのあるフリーランスには去られたくないという話がありましたが、逆にこういうフリーランスはちょっとなぁ……という本音みたいなのもありますか?

真剣にインタビューに答えてくれるちもんさんを隠し撮りする娘
ちもん:「え、そこまでしかやってくれないの!?」って人です。
――え、どういうことですか。
ちもん:「こういう感じでお願いします」というニュアンス的な要望を、わかっているのにあえてスルーし、しかも堂々と言っちゃう人。
指摘して「そうかなって思ったけど、ちゃんと依頼されてないからやらなかったよ」とか言われると、正直「えぇ……」ってなります。「じゃあ聞いてよ!」と(苦笑)。そこで気づかないふりをしてくれるなら、全然いいんですけど。
――気づかないふりはいいんだ(笑)。
でも、それわざわざ言ってくるんですか? それはもはや、仕事がどうとかより人として仲良くなれなそうな気がする……。要はコミュニケーションに難がある人、ということなのかな。
ちもん:とにかく、依頼される側とする側と両方を経験することで、いろいろなことを俯瞰して見られるようになったと思いますね。
――金額の相場感とかもわかるようになりますよね! わたし、そのあたりが全然で……。ちょっと脱線しますけど、見積もりとか出すの難しくないですか?
ちもん:見積もりは工数で出すことが多いですよ。時給換算して、リサーチから執筆までで何時間くらいかかりそうだからいくら、みたいな。
あとは、なるべく細かく項目を分ける方が単価交渉しやすいかも。例えば、最終的にどんな記事に仕上げるか企画段階から打ち合わせをするなら、見積もりに「ディレクション費」を上乗せする方法がおすすめです。
――なるほど、そんな方法が……! 今後の参考にします。
渾身の記事をブログでアピールせよ
――現在は会社員として働きながら、副業でライティングもこなされているんですよね。お仕事はどうやって得ているんですか?
ちもん:もともとつき合いのあったクライアントからの継続依頼と、あとはブログからの依頼が結構あります。最近は、宮城県内のお出かけ記事なんかの依頼が多いですよ。
――ちもんさんと同じように、働きながら副業でライターをしてみたいって人は他にもたくさんいると思うんです。そういう人に、仕事を得るためにアドバイスするとしたら何と伝えますか?
ブログを書くのは大前提として、何を発信するかも大切だと思うんですが。
ちもん:実績を作ること、ですね!
――えっ……身も蓋もないですけど。
ちもん:もしまったくの実績ゼロから始めるんであれば、自分がやりたいこと、やりたいジャンルについての記事を、あたかも依頼を受けて書いたかのごとく綺麗に仕上げてブログで公開するんです。それが「こんな記事が書けるし、写真が撮れる」というアピールになります。
またその渾身の記事を、制作実績やプロフィールのページに載せることも大事ですね。ブログ記事はいつも見てもらえるわけじゃないので、そういう実績をまとめたページに見やすく配置しておくことで、クライアントの目に止まりやすくなります。
――依頼がなくても、実績は作れる! ということですね。確かにわたしも、ブログに載せた乙女ゲームのレビュー記事を見たクライアントから依頼を受けたことがあります。
さっそくこのインタビュー記事も、制作実績ページに置いておきます!
会社員時代に得たスキルを武器に、フリーランス目指す
――今後また、フリーランスになりたいとは考えていますか?
ちもん:はい。40歳になる頃までには、フリーに戻りたいなと考えています。
――それはどうして?
ちもん:旅行がしたいからです。会社員の安定収入は大きな魅力ですが、ぼくにとってはそれより時間が大切ですね。
――あ、その感覚はわかります。わたしも、子どものために時間の融通がきくフリーやってるってのが大きいですから。
ちもん:今はライター一本で、というこだわりはそれほどないんです。それより今の会社で得たスキルを武器として、またフリーランスを目指したい。
ディレクターもそうだし、デザインもそう。前職では電子書籍の出版に携わっていたので、そっち関係もありかなとか。あと、実家で家庭菜園をやっているんですが、農家にもビジネスチャンスがあるんじゃないかなと思い始めました。
とにかく複数の収入源を得ること。それができれば、フリーランスでも安定した生活を送ることは十分可能だと考えています。

ちもんさんに懐きまくりの娘によるショットその2。お相手ありがとうございました!
編集後記
「身近な人にインタビューして、いろんな話を聞いてみよう!」
そんなフワッとした思いつきが発端で始まった、このインタビュー企画。第1弾は、わたしと同じ仙台市で活躍するライターのちもんさんにご登場いただきました。
会社員からフリーランスへ、そして再び会社員へ……という、わたしにはない経験をお持ちのちもんさんだからこそのお話を伺えたと思います。
今後もこの企画は継続し、いろんな方にお話を伺いに行きたいと考えています。七尾からお声がけさせていただいた際は、ぜひ優しめにご対応いただけますと大変嬉しいです!